ゆゆ式 Advent Calendar 5日目 ゆゆ式アニメ第1話と22秋アニメ第1話を比べてみてゆゆ式の魅力を再発見したい

この記事はゆゆ式 Advent Calendar 2022 5日目の記事です。

4日目は駅前ブラブラ氏の「ゆゆ式流・学力の伸ばし方」でした。去年のYOCもそうですが、言葉選びの巧みさを毎度感じます。学びの神髄に迫る(?)良記事。

 

序文

諸君は今期(2022年10月~)のアニメをどれだけ見ているだろうか?クオリティが素晴らしいアニメが数多く放送されている今期は見るアニメを選ぶのに苦労した読者も多い事だろうと思う。そんな中で、

どのアニメを見るかの判断は第1話でどれだけ惹かれるかに大きく依存するというのが1つの持論である。

ゆゆ式が映像の世界に飛び立った2013年と比べて明らかにアニメの数が増えてきたこの令和の時代、現実的に放送される全てのアニメを見ることは不可能に近い。

そしてこれは過去作に関しても例外ではない。

世はまさに大サブスク時代、過去作を見ようと思えばタイトルを検索してアニメを見始められる時代である。あらゆる方向から過去作宣教師が飛んでくるこの魔境でゆゆ式を布教して見始めてくれたとしてもその第1話に魅力を感じてもらわねば第2話に進んでもらえるとは限らない。この作品の持つ独特な魅力は何度も見ていくと染みてくるスルメ的なものであり、コンテンツ消費の波に対して逆境に置かれているのでは、とふと思った。

勧められた人にとってのゆゆ式が”第1話で面白さを感じ取れなかった残念なコンテンツ”で終わってしまう、その悲しみは筆舌に尽くしがたいものだ。それを避けるためにも第1話を見てもらうとして、その”魅力”も一緒に伝えるのが良いだろう。

本記事は今期アニメの第1話とゆゆ式第1話を比較し、ゆゆ式第1話が表現する作品の魅力を言語化する試みだ。ゆゆ式をひとに勧める、或いはゆゆ式の魅力を再発見する一助になれば嬉しい。

機動戦士ガンダム 水星の魔女 第1話 「魔女と花嫁」

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感想

面白かった。学園もので主要な登場キャラが第1話からどんどん出てくる中、田舎から編入してきた女子校生、緊張しいだけど人助けの為には勇気を出せる主人公スレッタ・マーキュリーをはじめとして作中のキャラの性格が行動によく表れた第1話だった。

作中最大のキーワード「逃げたら1つ、進めば2つ」を唱え、自身を鼓舞して自慢の機体エアリアルに乗り込む姿は誰が見ても応援したくなるだろう。ヒロインの持つ因縁に巻き込まれる形での決闘、そこで見える主人公機エアリアルの破格の強さとラストシーンの構図...圧巻の一言である。

比較

ゆゆ式の第1話と比較してみよう。こちらも高校入学、新たな環境に一歩を踏み出す唯、縁、ゆずこたちが描かれるが、全員と初対面な主人公の編入から始まる水星の魔女とは大きな違いがある。彼女たちは『既に3人の関係が完成している』のだ。

水星の魔女には『人間関係の構築からスタートする分主人公に感情移入しやすい』という良さがある一方で、ゆゆ式の第1話は『軸となる登場キャラが既になかよし3人組であり、居心地の良さを体感しやすい』というのが大きな強みと言えるだろう。

両者の共通点としてはやはりなんといっても女の子同士の尊い関係性。それは心身の健康に非常に良い効果があり世界を救うのだ。これほど素晴らしいものの前にはロボットものと日常ものの差など微々たるものに過ぎない。

チェンソーマン 第1話 「犬とチェンソー

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感想

世界観に惹きこまれた。主人公であるデンジ、その親の残した借金の存在やポチタとの生活状況などに物語の持つ重さをひしひしと感じ取れる。後半の戦闘でデンジとポチタの関係が変わり、謎の人物マキマと出会って物語はスタートラインへ...というプロローグ的な第1話だった。

現実の日本に近いながら現実では馴染みのない”悪魔”の存在、そしてそれに立ち向かう主人公デンジのヒーロー物語!...と単純明快なストーリーではなく、デンジの持つ負の側面を見せつけられ一筋縄ではいかない物語なんだな...と肌で感じることになった。

比較

ゆゆ式の第1話と比較してみよう。チェンソーマンの第1話はまだ先の展開が全く読めない。というのも、世界観はある程度見えたものの主人公が夢に向かってどのようにアプローチしていくのか、主人公が所属することとなる公安がどういう活動をする組織なのかなど謎が多いからだ。第1話で世界観の構成がほぼ完了するゆゆ式とは相反すると言っていいだろう。

チェンソーマンは『これから始まる壮大な物語のプロローグ』、ゆゆ式は『何の変哲もない学校生活を記した日記の最初の数ページ』のようなものと捉えられる。それでいてゆゆ式第1話に退屈さを感じないのはテンポの良さと掛け合いの美など様々なものの相乗効果の賜物と言っていいだろう。ゆゆ式をイベントを待ちながら見ていると退屈に感じるかもしれないが、ゆゆ式ノーイベント グッドライフに象徴されるようにイベントを待たなくても登場人物のささいな会話楽しませてくれる。

両者の共通点として、ゆゆ式にはチェンソーマンのマキマのような存在するだけで母性を放つ方がいる。そう、おかーさんこと松本先生だ(後に胸を狙われるところまで共通)圧倒的母性、それは飢えた現代人を救う。ママが再評価される時代なのだ。

チェンソーマンを母性目当てで見に行って何かしらの裏切りにあっても私は責任を負わない

Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ- 第1話「DIYって、どー・いう・やつ?」

AmazonPrimeのリンク

感想

今期でいちばん好きになった。主人公のせるふが入学して学校に通う中で矢差暮先輩、そしてDIY部と出会う。それをきっかけにぷりんとの過去を思い出したり、新たな友達と出会ったり、部員になってみたり...

当のDIY部は廃部寸前で部員集めをしなければならない無限回見た状況。せるふとぷりん、DIY部のこれからが楽しみになる部活ものとして定番の第1話だった。

主人公のせるふと幼馴染のぷりんが違う学校に通うことになり、距離感が昔ほど近くなくなっていて寂しい気持ちにさせられる。だがぷりんと幼かった頃のような関係に戻りたい、とぼんやり考えているせるふ。ぷりんもぷりんでせるふに思う所があるのに人間関係の不器用さが災いして上手く伝えられず「バカせるふ!」と言い捨ててしまうツンツンぶり。最高。この作品まんがタイムきららじゃないんですか?

比較

ゆゆ式の第1話と比較してみよう。ゆゆ式DIYアニメはかなり雰囲気が近いと言えるだろう。どちらものほほんとした空気に満たされていて、せるふのケガ以外は不安になることもなく見ていられる安心感が第1話から伝わってくる。

何気ない日常、唯と縁とゆずこの・せるふとたくみやペットたちや親との他愛もない会話、新しい学校・部活との出会い...。といっても、情報処理部は廃部の危機に晒されているわけでも誰かに入るよう頼まれているわけでもない。展開こそ似てはいるがDIYはより部活に、ゆゆ式はより日常に寄っていく作品なのだ。

また、他の学校に通う幼馴染はゆゆ式にはいない。この2作品はかなり近いが別の性質を持つ作品だ。ぷりんの存在がDIYアニメとゆゆ式を大きく分ける要素であることは間違いない。

DIYアニメ第1話が『のほほんとした雰囲気を大切にしながら丁寧に作られた不器用な子たちの部活もの』ならゆゆ式は『ゆるい雰囲気が時空を支配するトップオブゆるゆる日常もの(部活もあるよ)』と言えるだろう(長い)。

共通点は前述の通りだが、まだもう一つある。緻密な作画によるキャラの内面の描写がどちらも非常に良い

例えばせるふに朝電話をかけるぷりんの体の動きからそのイラつきが、たくみのちょっとした引きから戸惑いが、せるふの嫌味を言われてもピンと来ていない顔からその鈍感さ、天然さが...といったようなもの。これらはほんの一例であり、DIYアニメは第1話からその旧世代的な絵のタッチからは信じられないほどの描写の数々を見せてくれる。

ゆゆ式にも同じことが言える。ゆずこのアホ毛の動きでなんとなく感情がわかったり、縁の声のトーンで楽しそうな感じが伝わってきたり、唯の口調でゆずこと縁との触れ方の違いが見えたり...ゆゆ式がアニメ化したことで格段に増した何気ない日常を描く魅力DIYアニメに通じるものがある。

総括

何気ない日常を障壁や過不足なく見せてくれる最高に居心地のいいアニメ

これを本記事における、ゆゆ式第1話に詰まった魅力のいち解釈とする。

...意気込みの割に浅くないか?という気持ちはわかる。

だが思い出してみてほしい。ゆゆ式第1話を。あなたがいつか初めて見たゆゆ式アニメ第1話を。或いは原作第1話を。果たして今ほどの矜持、信念を持ってゆゆ式と向き合っただろうか。きっと「キャラがかわいかったな」、「会話面白かったな」、「きらら最高」...そんな他愛もない感想を持ったのではないだろうか?そしてゆゆ式にハマり今に至るのではないだろうか?

知っての通り、ゆゆ式の持つポテンシャルは無限大である。

ゆゆ式のことを何も知らない人が第1話を見てくれるなら、その魅力は語るよりも作品から感じ取ってもらう、その人にとってのゆゆ式とは何かに向き合ってもらうのも賢明な判断と言えるだろう。当たり障りのない紹介だけ耳に入れてもらって、あとは信じてゆゆ式世界に送り出すこと。これがなによりもゆゆ式の為なのかもしれない。

補足

水星の魔女には21年前の事件を描く「PROLOGUE」が存在し第1話より先に放送されていたが、本記事では第1話「魔女と花嫁」のみ取り上げる。

※以下2022/12/9追記

各種配信サイトにて水星の魔女第1話は無料配信されていない為、第1話を含む公式ダイジェスト動画のURLを掲載した。チェンソーマン第1話は各種サイトで無料配信されている為、ニコニコ動画のURLを掲載した。DIYアニメは残念ながら第1話が無料配信されているサイトが見当たらなかった為、AmazonPrimeの当該作品のページのURLを掲載した。

あとがき

読んでくれた人がゆゆ式をひとに勧める助けになればいいな、と思ってこの記事を書き始めてみたはいいものの魅力を再発見できたのはゆゆ式というよりDIYアニメの方な気がする。DIYアニメ、マジでいいので是非全人類見てください...

というのはさておき、ゆゆ式は『ただ五感で情報を吸収していれば人間関係を楽しみ幸福感が感じられる映像としてのクオリティ』と『難しく考えようと思えばいくらでも難しく考えられるだけの奥深さ』を兼ね備えた作品である。人におすすめするならどちらの特徴を推していきたいか、というのはかなり好みがわかれると思うし絶対的な正解は無いだろう。

そこで、本記事のまとめとしては前者の、”きらら作品のひとつとしてのゆゆ式を推していきたい”という持論に沿った一つの解を提示させていただいた。本記事を見て自分とゆゆ式、何も知らない人とゆゆ式の関係を考え、あなたなりの解釈を持ってもらえれば幸いである。良きゆゆ式オタクライフを。

ゆゆ式アマプラに入らねえかなぁそれと2期まだかなぁ